在庫確認で倉庫に走る状態を改善|kintoneで欠品防止と仕入判断を整えた事例

お客様から、こんな電話が入ります。
「急で悪いけど、在庫ある?」
そのとき現場では、こう返しています。
「すみません。ちょっと倉庫を見てきます…」
都城の現場でよくあるこのやり取りは、実は見えない手間と判断の遅れを生みやすい状態です。今回は、kintoneで「在庫を見に行く」から「その場で状況が分かる」へ変え、欠品防止と仕入判断の整理につなげた事例を紹介します。
在庫確認で倉庫へ走る状況を表すイラスト(文字なし)
都城でよくある風景

在庫確認のたびに倉庫へ見に行く。発注の判断が担当者頼みになる。分納が入ると「何がどこまで届いたか」が分かりにくい。 都城エリアの製造業・卸売業では、こうした状態が今も珍しくありません。

これは決して現場が怠けているのではなく、むしろ現場の工夫と頑張りで回してきた結果です。 ただ、その状態が続くと、担当者の不在時、引継ぎのタイミング、繁忙期に一気にムリが表に出やすくなります。

特に分納が多い会社ほど、「まだ全部届いていない」「何個来て、何個来ていないか」の認識ズレが起きやすく、現場が止まりやすくなります。

本記事では、出庫・発注・納品・入庫の流れをつなぎ、在庫確認の即答、欠品防止、仕入判断の整理につなげたkintone事例を紹介します。 「今の運用を大きく変えずに、どこから整えればよいか」を考えたい方に向けた内容です。

この記事の要点(3点)

  1. 在庫確認のゴール:「いま在庫があるか」だけでなく、「いまどこまで進んでいるか」まで答えやすい状態をつくること
  2. 仕組みの核:出庫・発注・納品(分納)・入庫を一気通貫でつなぎ、同じ流れを全員が同じ情報で追えるようにすること
  3. 現場が回る工夫:「登録」「チェック」を起点に、次の記録が自動で作られる仕掛けで、迷い・転記・抜けを抑えること

現状 → 課題 → 提案 → 効果

現状

都城の製造業A社では、お客様からの電話で在庫確認が入るたび、倉庫へ見に行って答える運用になっていました。 忙しい時期や担当者の不在が重なると、回答が遅れたり曖昧になったりすることがありました。

課題

問題は在庫が見えないことそのものではなく、在庫の判断が人の記憶や経験に依存しやすいことです。 その結果、次のような事象が起きやすくなります。

  • 在庫確認が「見に行ける人」に依存し、現場の負荷が見えにくい
  • 発注の判断が属人化し、漏れや抜けが起きやすい
  • 分納が多いほど、「まだ全部届いていない」という認識違いと数量ズレが起きやすい

提案

在庫管理を中心に、動きごとにアプリを分け、あとから追える履歴が残る形にしました。 狙いは“管理のための入力”を増やすことではなく、現場が迷うポイント(次に何をすればいいか)を減らすことです。

そこで、判断や転記が発生しやすい場面は、仕組み側が先回りして「次の記録が自動で作られる」ようにしています。現場は基本的に、登録・チェックを起点に次へ進めます。

図:提案(5アプリ+次の記録が自動で作られる)
図:提案|「チェックしたら次が出てくる」「登録したら次が出てくる」を仕組みにする。

アプリ構成(5つ)

  • 商品マスター
  • 在庫管理
  • 出庫
  • 入庫
  • 発注

現場の迷いを減らすための仕組み・工夫

kintoneの標準機能では、現場運用で一歩足りない部分があるため、現場を滞りなく回すために自動化をはかりました。

  1. 出庫アプリで登録 → 適正在庫を下回った場合、発注アプリに対象商品のレコードが自動で追加
  2. 発注アプリで「納品済」にチェック → 入庫アプリに対象レコードが自動で追加
図:自動化(出庫→不足なら発注が追加/納品済チェック→入庫が追加)
図:自動の動き|現場は「登録」「チェック」だけで次に進めます。

在庫だけで終わらず、結果として次のような履歴も残る形になります。

  • どこの仕入先から、何を、どのくらい仕入れたか
  • どこの取引先に、何を(商品 / サービス)、どのくらい売ったか

効果

この仕組みにより、単に「在庫数が見える」だけでなく、現場と管理側の判断がそろいやすくなりました。具体的な効果は次のとおりです。

  • 在庫確認にその場で答えやすくなった
    電話のたびに倉庫へ見に行く前提から抜け出しやすくなり、営業・事務・現場の確認負荷を抑えやすくなりました。
  • 発注判断が担当者の記憶頼みになりにくくなった
    出庫を起点に不足が見えるため、「誰が見ても同じ判断がしやすい状態」に近づきました。
  • 分納時のズレを追いやすくなった
    「何が未納か」「どこまで届いたか」を履歴で追いやすくなり、認識違いを抑えやすくなりました。
  • 引継ぎや担当不在時でも回りやすくなった
    同じ流れを同じ画面で見られるため、特定の担当者しか分からない状態を減らしやすくなりました。
  • 在庫管理だけで終わらず、仕入・販売の履歴も残りやすくなった
    あとから見返せる情報が増えるため、今後の見直しや改善の土台にもなります。
図:効果(見に行く→履歴で追える)
図:効果|倉庫へ見に行く在庫から、履歴で追える在庫へ。

実施にあたってのヒント

1:アプリでの役割を明確にする

「どこに何を登録するか」を先に決めて、入力の迷いを減らせるようにします。

2:出庫から始まる一本道を作る(分納前提)

出庫 → 発注 → 納品(分納) → 入庫 → 在庫反映を、途中でも追えるような設計にします。

3:迷うところは、入力ではなく自動化する

今回の例のように、出庫登録・納品済チェックを起点に自動化すると、運用負荷を増やさずに流れを整えやすくなります。

補足

都城エリアは、今回のA社のように倉庫だけでなく工場を持つ会社も多い印象です。在庫の前後に「原材料 → 加工 → 製品」という流れがある場合、在庫だけ整えても途中がブラックボックスだと判断が難しい場面があります。原材料から加工、製品までのステップを登録できる「生産工程管理アプリ」も実装しており、kintoneで幅広い業務領域をカバーしています。

次に読むと理解しやすい記事

今回の事例を読んで、 「自社でも似た状態がある」 「在庫だけでなく、情報管理や業務の流れ全体を見直したい」 と感じた方は、次の記事もあわせてご覧ください。

まずは現状整理からご相談ください

「今まで通りで回っている」こと自体を否定するつもりはありません。 ただ、電話のたびに倉庫へ見に行っているなら、それは現場が頑張って吸収しているサインでもあります。

「相談=すぐシステム導入」ではありません。まずは現場の流れを紙に起こして、詰まりやすい場所や人頼みになっている場所を見つけるところからで大丈夫です。

・いまの運用を否定しない(回っているのは現場の工夫の成果)
・ただ、頑張りで吸収している部分は、放置するとどこかで限界が来る
この線引きをしながら、「どこから整えると負担が減るか」を整理します。

現場の一日の流れ(出庫・発注・入庫・分納の扱い)を棚卸しして、どこから整えるのが良いか整理してみましょう。

在庫の「見に行く運用」から、履歴で追える形へ。

いまのやり方を否定せず、どこから整えると回りやすくなるかを一緒に整理します。

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